何冊かの義母の日記。
ある1ページには、時間だけ書かれている。
何か書こうとして、時計を🕰見る。時間を記す。
さて、何を書こうかなぁ…考える。
ボーッと考えているうちに、何も変わった事がない。
何か書かねば。思い直して、再び時計を見る👁時刻を書く。
その繰り返しだった事が分かる。
車椅子生活になってから、自分の意思では、どこへも移動出来ない。
テレビも、お笑いなどは、テンポが早くて何を言っているのか分からないと言う。
“演歌” を聴いた日の日記には、『今日は、五木ひろしの歌。良かった』と、記してあった。
昼寝の時間に、CDをかけておくと、嬉しそうに口ずさみながら寝ている。
演歌のCDも💿枚数が少なくて、そのうち飽きているようだった。
歌うのは、苦手で歌った事が無いと言っていた。でも、私が歌うと一緒に
歌うようになってくれた。大川栄作の『サザンカの宿』と舟木一夫の『高校三年生』
が好きだと言っていたが、自分で口ずさむ事は無かった。
私が歌うと「◯私さんは上手だねぇ」と歌ってほしいと時々せがんだ。
その歌が流行していた頃、義母は、きっと生き生きと働き、せっせと息子に、仕送りしていたに、
違いない。
人間は、目標を持って忙しく働いている時が1番幸せなんだ、と今更ながら思う。
子供の手が離れたら、あれもしたい。これもできるのに…と思って暮らした若い日々。
沢山の時間がある今。
ゆっくり、大切に暮らして生きたいとおもう。
時間がたっぷりあっても、身体の自由がきかなけえば、辛いだけだもの…ねぇお義母さん。
好奇心に溢れていたお義母さん。私も好奇心を失わずに、
お義母さんを見習って、生きていきます。
『50年前に戻って、忙しく働きたい』日記の一文が切ないです…お義母さん。